普通学校に通うことも可能ですが、特別支援学校を選択するケースがあります。
その理由は、特別支援学校には障害のある児童生徒にとって、より適切な教育やサポートを提供できる環境が整っているからです。
例えば、私が以前に担当した二分脊椎の障害のある児童生徒についてご紹介します。
特別支援学校での教育
特別支援学校は、障害のある児童生徒が就学先として選ぶ選択肢の一つです。
障害のある子どもには、特別支援学校において、一般的に以下のような支援が用意されています。
個別化された教育計画
特別支援学校では、児童生徒一人ひとりに対して、個別の教育計画(IEP)が作成されます。
この計画には、学習目標、使用する教材や方法、必要なサポートサービスなどが含まれ、定期的な評価を通じて児童生徒の進捗を追跡し、必要に応じて計画を調整します。
専門的な支援・ケア
特別支援学校には、物理療法士、作業療法士、言語聴覚士、それらの資格を持つ自立活動教諭や、医療的ケアをサポートスタッフとしての看護師など、さまざまな専門家が常駐しています。
これにより、日常的に児童生徒が必要とする個別の支援の提供が可能となります。
適応された学習環境と教材
特別支援学校の施設や教室は、身体的な障害のある児童生徒も含め、すべての児童生徒がアクセスしやすいように設計されています。
スロープやエレベーター、各教室の出入り口などの開口部の広さ、間取りなど、車椅子ユーザーが移動に困ることがないよう完全にバリアフリー化されています。
また、障害に合わせた特殊な教材や教具が用意されており、児童生徒はそれぞれの障害の状況に合わせて、自分のペースで学習を進めることができます。
生活スキルと社会参加の促進
特別支援学校では、学業の知識だけでなく、日常生活で必要なスキルを身につけることも重要視されています。
料理や買い物、公共交通機関の利用など、社会で自立して生活するためのトレーニングが行われます。
また、地域社会との連携を通じて、児童生徒が社会参加の機会を持つことも奨励されています。
普通学校でのサポート
普通学校でも障害のある児童生徒へのサポートが法律によって保障されています。
個別の支援計画の作成、支援員によるサポート、特別な教材の使用などが挙げられますが、特別支援学校と比較して、サポートの専門性や教育環境の適応度には当然差があります。
個別支援教育計画の作成
普通学校では、障害のある児童生徒一人ひとりに合わせた個別支援教育計画(IEP)を作成します。
この計画には、学習目標、必要な支援手段、適応措置などが含まれ、児童生徒の学習過程と成果を最大化することを目指します。
IEPは定期的に見直され、児童生徒の成長や変化に応じて調整されます。
特別な教育支援の提供
障害の種類や程度に応じて、特別支援教育コーディネーターや特別支援教育担当教員による個別の支援が行われます。
これには、授業中のアシスタント支援、特別な教材の使用、個別または小グループでの指導などが含まれます。
環境の適応
学校施設内での物理的なアクセシビリティの向上(例えば、スロープの設置、バリアフリートイレの整備など)や、授業で使用する教材やテクノロジーの適応(例えば、拡大文字を使用した教科書、音声入力システムなど)を通じて、すべての児童生徒が学習にアクセスしやすい環境を整えます。
しかし、これは目標のようなものであり、上記のような設備が整っていない学校も多いのが現状です。
事実、交流学習として普通学校の授業に参加した際、バリアフリーが進んでいない校舎であったため、4階の教室までの移動は、相手校の先生方も含め6、7人で車椅子ごと人力で運びました。
また、トイレの入り口は車椅子が通過できない広さで、車椅子を斜めに持ち上げやっと入ったという状況でした。
同級生との交流促進
社会的スキルの向上と同級生との良好な関係構築をサポートするために、学校はクラス活動や学校行事での参加を促します。
また、ピアサポートやメンタープログラムを通じて、障害のある児童生徒が同級生との交流を深める機会を提供します。
これも理想的なことであり、実現していれば素晴らしいことですが、実際は、様々な二次的な問題を生じることも少なくありません。
事実、特別支援学校で私が担当していた児童生徒のうち数名は、元々は障害がありながらも普通学校での生活を送っていましたが、学習活動や行事への参加の困難さ、いじめなどの人間関係のトラブルから、特別支援学校へ転校してきました。
もちろん障害による生活の困難さはあるものの、学力や知能的には普通学校でも何ら問題なく学校生活を送ることができた児童生徒たちでした。
最適な選択をするために
どちらの教育機関を選ぶかは、子どもの障害の種類や程度、個性、そして家族の価値観や希望によって異なります。
特別支援学校での教育は、単に学問的な知識を提供するだけでなく、児童生徒が社会において自立し、充実した人生を送るための基盤を築くことを目的としています。
このような環境は、障害のある児童生徒が自分自身の可能性を最大限に発揮し、自信を持って社会に進出するための重要なステップとなります。
一方で、普通学校におけるこれらのサポートは、障害を持つ児童生徒が学業だけでなく、社会的なスキルや自立した生活を送るための能力を育む上で重要な役割を果たします。
しかし、特別支援学校と比較して、普通学校のサポート体制は一般的には汎用的であり、障害の種類や程度によっては、特別支援学校が提供するような専門的かつ個別化されたサポートが必要になる場合もあります。
保護者や児童生徒が直面する教育選択は、個々のニーズに最も適した環境を選ぶことにより、最良の結果をもたらすでしょう。
最終的には、子ども自身の幸せと成長を最優先に考え、教育選択をすることが重要です。障害を持つ子どもたち一人ひとりが自分らしく輝けるような教育環境の選択が望まれます。
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