子供が自宅での勉強計画を立てるのが苦手で成績が下がっている、または学習障害があり一人で集中して学習するのが難しいといった悩みを抱える保護者は少なくありません。
そこで、学習支援の一つの方法として、オンライン家庭教師の利用がどれだけ有効か、ぜひ皆様に知っていただければ幸いです。
この記事では、オンライン家庭教師の現状について分析し、高校及び特別支援学校での勤務経験、さらに現役オンライン家庭教師としての実体験をもとに、そのメリットとデメリットを具体的に解説します。
オンライン家庭教師とは
家庭教師と言えば、自宅に教師が伺って生徒の部屋で、生徒の横について授業を進めるという伝統的な家庭教師のイメージではないでしょうか?
実際、私も大学生の時にアルバイトとしてやっていた家庭教師では、まさにその形態でした。
もちろん現在もその形態は続いているのですが、デジタル技術の進化と共に、オンライン家庭教師が新たな主流となっています。
オンライン授業は、インターネット上で「Zoom」や「Meet」を始めとするオンライン会議システムを利用して、リモートで学習支援を提供します。
これにより、物理的な距離を超え、家庭の快適さの中で個別指導を受けることが可能となります。
この形態のメリットは、詳しくは後述していますが、何といっても時間と場所の柔軟性を実現してくれる点です。
さらに、塾などの集団指導では到底不可能なまでの、生徒や家庭の個別のニーズに合わせた学習支援を実現してくれます。
一方で、講師と生徒間の直接的な対面がないため、コミュニケーションのスタイルや学習環境に適応する必要があります。
オンライン授業の成功には、安定した高速インターネット接続、Webカメラ、ヘッドセットなどの適切なデバイスが必須です。
オンライン学習においては、自己管理能力と自律性がより一層求められるため、これらのスキルを育成する機会とも言えます。
これらは、ご家庭やお子様の利用する側だけではなく、授業をする家庭教師側にも、同様のことが言えます。
オンライン家庭教師のメリット
時間と場所の柔軟性
オンライン家庭教師の最大のメリットの一つは、時間と場所の柔軟性です。
生徒は地理的な制限なく、どこからでもアクセスできます。
これは、部活動や習い事など忙しいスケジュールを持っている場合や、特定の教科の教師と学びたいが地理的に離れている場合にとって特に有益です。
また、移動時間が不要なため、学習に費やす時間を最大限に活用できます。
幅広い選択肢と質の高い学習支援
今や学習支援の手段として一般的となったオンライン家庭教師は、その利便性により、利用者だけでなく教師側の活動の幅も広げています。
教師は複数のサービス提供元に容易に登録でき、これらのサービス提供元には多様な資格や経歴を持つ有能な教師が在籍しています。
この体制により、利用者は専門的な科目や特定の教育ニーズに最適な教師を容易に見つけることができます。
結果として、自分にとって最適な知識と技術を持つ教師による、質の高い学習支援を受けることが可能になります。
さらに、選択した教師との相性が良くなかった場合やニーズに合わない場合には、担当教師を容易に変更できることも、このシステムの大きなメリットの一つです。
カスタマイズされた学習計画
生徒一人ひとりの学習スタイルやニーズに合わせて、カスタマイズされた学習計画を立てられる点も、オンライン家庭教師の大きなメリットの一つです。
集団授業や個別指導塾でも同様の取り組みは見られますが、オンラインではより個々の状況に細かく対応できるため、より効果的な学習が期待できます。
しかし、全ての子供にとって最適な方法とは限らず、特に利用方法によってはその効果が異なることも認識しておく必要があります。
私の息子は中学生の時に学習塾を利用しており、発達障害の特性に合わせた対応を依頼しました。
しかし、学習塾という形態におけるニーズ対応の限界を感じていました。
高校進学後は、オンライン家庭教師と予備校の併用により学習効果を高めることができました。
この経験から、オンライン家庭教師の利用が効果的であるためには、サービス提供元と保護者間のコミュニケーションが重要であることがわかりました。
これについては、別の記事で詳しくお話させて頂きたいと考えています。
子供の性格や特性を正確に伝え、ニーズに合った教師の選定を依頼することで、カスタマイズされた学習計画が実現し、学習の効果を最大化できるのです。
技術活用の促進
オンライン家庭教師の利用により、最新の教育技術を活用する絶好の機会を得ることができます。
例えば、ZoomやMeetを利用したビデオ通話など、オンラインでの双方向の対話を通じて、新基準の技術に慣れ、デジタル時代のスキルを身につけることができます。
これは、将来的に学業や職業で必要とされる重要なスキルです。
安全性と保護者の関与
オンライン学習は、生徒が安全な環境で学べることを保証します。
さらに、保護者は学習状況を直接確認することができ、場合によっては教師とのコミュニケーションが容易に行えるようになります。
オンライン家庭教師のデメリット
技術的な障壁とコスト
オンライン授業では、安定したインターネット接続、適切なデバイス(コンピューターやタブレット)が必要であり、場合によっては特定のソフトウェアやアプリケーションも必要になります。
これらには、場合によってはコストがかかり、家庭にとっての負担となることがあります。
また、技術的なトラブルや操作の不慣れが学習の進行を遅らせることもあります。
対面とのコミュニケーションの違い
オンライン上でのコミュニケーションは双方向での対話が可能ですが、対面でのそれとは異なります。
画面を長時間見続けることによる精神的・身体的な疲労である「ズーム疲労」と呼ばれる現象を引き起こす場合があります。
もっとも、オンライン授業では60~90分という学習時間が9割以上を占めるため、この「長時間」には該当しないとされています。
逆に、オンライン家庭教師は、1日の中で授業を3~4コマ担当し、4~6時間画面と向き合う場合もあり、これによってズーム疲労に陥ることもあります。
ビデオ通話では、相手の表情や身振りを見ることができますが、対面でのコミュニケーションと比較すると、これらの非言語的手がかりを完全には捉えられないことがあります。
カメラのアングルや画質、画面のサイズなどにより、細かい表情や身体言語を見逃すことがあるのです。
また、自宅やプライベートな空間からの参加は、背景に映り込む個人的なアイテムや家族が原因でプライバシーの問題が生じる可能性があります。気になる方は背景をぼかすなどの設定を利用するとよいでしょう。
自己管理と自律性の必要性
オンライン学習では、生徒が自らの学習計画を管理し、モチベーションを維持することが一般的です。
このため、自己管理能力や自立性が低い子供は、オンライン学習環境での進行に苦労することが多いです。
このような場合、家庭教師が宿題を設定したり、「オンライン家庭教師のメリット」で述べた方法で、保護者とサービス提供者が連携し学習活動をサポートすることが重要です。
また、教師との直接的なやり取りが少ないため、学習の進捗状況の監視や指導を受ける機会が限られることも、オンライン学習の一つの課題です。
実践的な学習体験の制限
特定の科目やスキル、例えば実験活動、美術、音楽などでは、実践的な体験が学習において重要です。
しかし、オンライン環境では、物理的な操作や直接的な体験学習を再現するためには、教師側の創意工夫が求められます。
特に、これらの知識や技能に習熟していない教師では、学習体験が制限される可能性があります。
社会的な交流の欠如
校舎に実際に登校する学校では、学問だけでなく社会性を育む場でもあります。
オンライン家庭教師を利用する場合、同級生や教師との直接的な対面交流が減少し、社会的スキルや対人関係を築く機会が限られることになります。
これは特に成長期の子供たちにとって重要な側面であり、オンライン家庭教師の利用がデメリットとなることがあります。ただし、これは不登校など特定の理由によりオンライン家庭教師のみでの学習支援を受けている場合に限られる点です。
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