「数学Ⅱは高校2年生で履修したけれど、ほとんど内容を覚えていない」
「大学受験で数学Ⅱが必要になったので、今から参考書を買いたい」
このような相談を受けることがあります。
数学Ⅱを学び直す参考書として候補に挙がりやすいのが、
- 旺文社『数学Ⅱ・B 入門問題精講』
- 数研出版「黄チャート(チャート式 解法と演習 数学)」
です。
どちらも良い参考書ですが、目的は少し異なります。
結論から言えば、
短期間で基本から確認し直したいなら「入門問題精講」
基本を確認しながら、問題演習もしっかり行いたいなら「黄チャート」
が一つの目安になります。
ただし、偏差値だけを見て参考書を決めるのではなく、「数学Ⅱをどの程度覚えているか」「受験までどれくらい時間があるか」を考えて選ぶことが大切です。
入門問題精講の特徴
『数学Ⅱ・B 入門問題精講』は、いきなり問題演習から始めるのではなく、問題を解くために必要な考え方や公式を「講義」で確認してから例題に取り組む構成になっています。
旺文社も「大学受験対策の初めの書籍」と位置づけています。
そのため、
「公式そのものを忘れている」
「教科書を開いても、何をやった単元なのかよく思い出せない」
という人でも取り組みやすい参考書です。
また、黄チャートと比べて内容がコンパクトなので、数学Ⅱ全体を短期間で一通り復習したい場合にも向いています。
入門問題精講が向いている人
- 数学Ⅱの内容をかなり忘れている
- 公式や基本的な考え方から確認したい
- 分厚い参考書だと途中で挫折しそう
- まず数学Ⅱ全体を一周したい
- できるだけ早く過去問演習へ進みたい
特に受験まで時間が限られている場合には、「すべてを完璧にしてから次へ進む」のではなく、一度全体を思い出すことが重要です。
その意味では、入門問題精講のコンパクトさは大きなメリットになります。
黄チャートの特徴
黄チャートは、教科書レベルの基本事項から大学入試レベルの問題まで幅広く扱う参考書です。
数研出版も、黄チャートについて「教科書レベルから入試レベルの問題まで幅広く掲載」し、大学入試で数学を使う中堅以上の大学志望者向けとしています。
基本事項を確認するページもありますが、黄チャートの大きな強みは問題量と網羅性です。
つまり、
「基本を確認する」
だけではなく、
「確認した内容を使って問題を解けるようにする」
ところまで一冊で進めやすい参考書です。
黄チャートが向いている人
- 公式を見ると「ああ、これだった」と思い出せる
- 数学Ⅱを一度はきちんと学習している
- 基本確認だけでなく演習量も確保したい
- 受験まで長く使える参考書が欲しい
- 苦手な単元に何度も戻って復習したい
- 学校や家庭教師などで取り組む問題を指定してもらえる
黄チャートは非常に多くの問題が掲載されているため、最初から最後まで全部解こうとすると時間がかかります。
受験まで時間が限られている場合は、すべての問題を解くのではなく、例題を中心に必要な問題を選んで取り組む方が効率的です。
入門問題精講と黄チャートを比較すると
| 比較するポイント | 入門問題精講 | 黄チャート |
|---|---|---|
| 基本事項の確認 | ◎ | ○ |
| 説明の丁寧さ | ◎ | ○ |
| 数学Ⅱをかなり忘れている | ◎ | ○ |
| 問題演習量 | ○ | ◎ |
| 網羅性 | ○ | ◎ |
| 短期間で一周する | ◎ | △ |
| 独学のしやすさ | ◎ | ○ |
| 受験まで長く使う | ○ | ◎ |
| 先生に問題を指定してもらう | ○ | ◎ |
どちらが「上」ということではありません。
目的が違う参考書だと考えた方がよいでしょう。
偏差値50前後ならどちら?
例えば模試の数学偏差値が50前後だったとしても、それだけで黄チャートか入門問題精講かを決めることはおすすめしません。
同じ偏差値50でも、
「数学ⅠAはできるけれど、数学Ⅱをほとんど忘れている」
人もいれば、
「基本問題は解けるが、入試問題になると解けない」
人もいるからです。
参考書選びでは、偏差値よりも現在の数学Ⅱの状態を見ることが重要です。
一つの目安として、数学Ⅱの教科書や問題を見たときに、
「公式そのものを思い出せない」「解説を読んでも、なぜそうなるのか分からない」
という状態であれば、入門問題精講から始めた方がよいでしょう。
一方、
「公式を見れば思い出す」「例題の解説を読めば理解できる」
という状態なら、黄チャートから始めても十分対応できます。
迷ったら、この3つを確認してみよう
参考書を購入する前に、次の3つを確認してみてください。
1.数学Ⅱの公式をどれくらい覚えているか
ほとんど忘れている
→ 入門問題精講
見れば思い出す
→ 黄チャート
2.受験までどれくらい時間があるか
できるだけ早く一周して過去問へ進みたい
→ 入門問題精講
ある程度時間をかけて演習もしたい
→ 黄チャート
3.一人で勉強するか、指導を受けるか
一人で最初から復習する
→ 入門問題精講が取り組みやすい
学校・塾・家庭教師などで取り組む問題を指定してもらえる
→ 黄チャートの豊富な問題を活用しやすい
受験まで時間がない場合は「全部やる」必要はない
高校3年生になってから、
「数学Ⅱをほとんど忘れていることに気づいた」
という場合でも、すべてを最初から完璧にやり直す必要はありません。
例えば、
基本事項を確認する
↓
代表的な問題を解く
↓
できる単元とできない単元を分ける
↓
過去問を解く
↓
できなかった単元だけ参考書に戻る
という進め方ができます。
特に黄チャートの場合、「買ったから全部やらなければならない」と考える必要はありません。
必要な例題を選んで使うことで、非常に便利な参考書になります。
まとめ
数学Ⅱを履修したものの内容を忘れてしまった場合、
基本から短期間で思い出したい人には「入門問題精講」
基本確認と問題演習を一冊でしっかり行いたい人には「黄チャート」
がおすすめです。
迷った場合は、
「数学Ⅱの公式を見たときに、自分がどのくらい思い出せるか」
を一度確認してみてください。
参考書選びで最も大切なのは、難しい参考書を選ぶことではありません。
今の自分に合った参考書を選び、それを使って次の学習につなげることです。
また、大学受験では「どの参考書を買うか」だけではなく、
どこから始めるのか
どの問題を解くのか
いつ過去問へ移るのか
という学習計画も非常に重要になります。
参考書を買うことがゴールにならないよう、自分の現在地と志望校までの距離を考えながら進めていきましょう。


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